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ヒッチハイクの怖い話 人の良さそうなカウボーイハットの老人とのつかの間のヒッチハイク旅のはずが。 ホラーIQ - 無料 ダウンロードなし


ヒッチハイクの怖い話 人の良さそうなカウボーイハットの老人とのつかの間のヒッチハイク旅のはずが。

大学最後の夏休み、俺は金もないのに、無謀なヒッチハイクの旅に出た。アメリカ西海岸の、どこまでも続く一本道。親指を立てて、車を待つ。何台かの車に無視された後、一台の古びたピックアップトラックが、土埃を上げて俺の前で止まった。運転席には、人の良さそうなカウボーイハットの老人が座っている。「どこまで行くんだい、坊主?」。訛りの強い英語で、彼は尋ねた。

「とりあえず、次の街まで」。俺はそう答え、助手席に乗り込んだ。車内には、カントリーミュージックが流れ、ダッシュボードには、色褪せた家族の写真が飾られていた。老人は、よくヒッチハイクをのせてあげていたようで、いろんな人との思い出を楽しそうに語ってくれた。退屈な一人旅になると思っていた俺は、彼の親切がありがたかった。日が暮れ始め、あたりが薄暗くなってきた頃、老人は「少し、寄り道してもいいかい?」と言った。

断る理由もなく、俺は頷いた。トラックは、幹線道路を外れ、舗装されていない脇道へと入っていく。延々と続く荒野。不安になってきた俺に、老人は「すぐに着くさ」と笑いかけた。やがて、一軒の寂れたモーテルが見えてきた。ネオンは壊れ、窓ガラスは割れている。どう見ても、廃墟だ。「ここで何を…?」「忘れ物さ」。老人はそう言うと、トラックを止め、モーテルの建物の中へと入っていった。

俺は車の中で待っていたが、老人は一向に戻ってこない。十分、二十分…。気になって、俺も車を降り、モーテルの中を覗いてみることにした。受付のカウンターは埃をかぶり、部屋のドアはどれも開け放たれている。奥の部屋から、微かに物音が聞こえた。恐る恐る近づき、ドアの隙間から中を覗く。そこには、信じられない光景が広がっていた。部屋の壁一面に、無数の運転免許証が貼られている。そして、その中央で、あの老人が、血まみれのエプロンをつけ、新しい免許証を壁に貼り付けているところだった。それは、さっき俺が彼に見せた、俺自身の免許証だった。

その時、老人がゆっくりとこちらを振り返り、手に持っていた錆びたナイフを、舌でぺろりと舐めた。俺は、ここが、今まで彼が乗せてきたヒッチハイカーたちの、終着点であったことを悟った。

ここに掲載されている怪談はフィクションでいかなる個人・団体と関係ありません

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