小泉八雲の怖い話 おしどり :ホラーIQ

小泉八雲の怖い話 おしどり
陸奥・田村の郷に村允という猟師がいた。
腕は確かで、鳥を外すことなど滅多にない。
その日も赤沼のほとりを歩きながら、腹をすかせて獲物を探していた。
見つけたのは、一対のおしどり。
普段なら撃たぬ相手だが、飢えに負けて矢を放ち、雄を仕留めた。
雌は蘆の陰に消え、村允は死骸を持ち帰って煮た。
その夜、美しい女が夢に現れた。
泣きながら訴える声が、骨の髄までしみる。
「なぜ、夫を殺したのですか……
赤沼で私たちは幸せでしたのに」
女は歌を残し、「明日、赤沼へ行けば分かります」と消えた。
翌朝、村允は赤沼へ急いだ。
そこには、ひとりで泳ぐ雌のおしどり。
村允を見つめたまま、真っ直ぐ近づき、
自らの胸をくちばしで突き破り、血のしぶきを上げて沈んだ。
村允はその場に立ち尽くし、
やがて髪を剃り、僧となったという。
(※パソコンのエッジで読み聞かせ機能を使うには、Ctrl+Shift+U」を押します。)陸奥・田村の郷に村允という猟師がいた。
腕は確かで、鳥を外すことなど滅多にない。
その日も赤沼のほとりを歩きながら、腹をすかせて獲物を探していた。
見つけたのは、一対のおしどり。
普段なら撃たぬ相手だが、飢えに負けて矢を放ち、雄を仕留めた。
雌は蘆の陰に消え、村允は死骸を持ち帰って煮た。
その夜、美しい女が夢に現れた。
泣きながら訴える声が、骨の髄までしみる。
「なぜ、夫を殺したのですか……
赤沼で私たちは幸せでしたのに」
女は歌を残し、「明日、赤沼へ行けば分かります」と消えた。
翌朝、村允は赤沼へ急いだ。
そこには、ひとりで泳ぐ雌のおしどり。
村允を見つめたまま、真っ直ぐ近づき、
自らの胸をくちばしで突き破り、血のしぶきを上げて沈んだ。
村允はその場に立ち尽くし、
やがて髪を剃り、僧となったという。
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