小泉八雲の怖い話 おかめ :ホラーIQ

小泉八雲の怖い話 おかめ
土佐の長者の娘おかめは、夫八右衞門を深く愛していた。
二人の間に争いはなく、村人たちもうらやむ仲だった。
だが、結婚からわずか二年、おかめは流行り病に倒れた。
痩せ細る身体で、彼女は夫に一つの願いを口にする。
「私が死んだら、もう二度と誰とも添わぬと、約束して下さいね……」
八右衞門は涙ながらに頷き、そのままおかめは息絶えた。
葬式の後、夫は日に日に衰弱していく。
医師も村人も、悲しみのせいだろうと首をかしげた。
だが彼は、母にだけ囁いた。
「おかめは毎晩、帰って来ます。私のわきに横たわり、朝の鐘とともに消えるのです」
寺僧は墓を開かせた。
棺の中には、生前と変わらぬ微笑みを浮かべたおかめが、まだ温かいまま坐していた。
その夜から、おかめは二度と現れなかった。
ただ、八右衞門が本当に約束を守り続けたかどうか――誰も知らない。
(※パソコンのエッジで読み聞かせ機能を使うには、Ctrl+Shift+U」を押します。)土佐の長者の娘おかめは、夫八右衞門を深く愛していた。
二人の間に争いはなく、村人たちもうらやむ仲だった。
だが、結婚からわずか二年、おかめは流行り病に倒れた。
痩せ細る身体で、彼女は夫に一つの願いを口にする。
「私が死んだら、もう二度と誰とも添わぬと、約束して下さいね……」
八右衞門は涙ながらに頷き、そのままおかめは息絶えた。
葬式の後、夫は日に日に衰弱していく。
医師も村人も、悲しみのせいだろうと首をかしげた。
だが彼は、母にだけ囁いた。
「おかめは毎晩、帰って来ます。私のわきに横たわり、朝の鐘とともに消えるのです」
寺僧は墓を開かせた。
棺の中には、生前と変わらぬ微笑みを浮かべたおかめが、まだ温かいまま坐していた。
その夜から、おかめは二度と現れなかった。
ただ、八右衞門が本当に約束を守り続けたかどうか――誰も知らない。
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